
KIRIMODOSHI
花は、この店の中で短くなります。
今朝いちばん長い
ドウダンツツジ 131cm ¥660
今朝いちばん短い
バラ 49cm ¥690
長い花のほうが安いことがあります。1cm あたりの値段が品目で違うからで、丈で下がるのは同じ一本の中だけです。花どうしの高い安いは、丈ではなく仕入れの値段で決まります。
台東区下谷、入谷駅から三分の切花屋です。毎朝、水の上がらない分だけ茎を切り戻すので、置いてある花は昨日より短くなっています。値段は丈から決めます ── 1cm あたりいくら、と決めてあって、短くなればそのぶん安い。だから元の値段も、何割引きも書きません。贈り物の束は作りません。自分の家の花瓶に挿す花を、今朝の丈のまま売る店です。
Photo: Micheile Henderson / Unsplash
よその作業台です。写っている花は当店のものではなく、撮られた日の丈も分かりません ── この店の花は丈で値段が決まるので、丈の分からない写真は見本になりません。右下にリボンが写っていますが、当店は贈り物の花束をお作りしません。写真の一枚も、ご注文の見本ではありません。
今朝の丈
火曜の朝、八時から九時半のあいだに一本ずつ切り戻して測りました。値段は 1cm あたりの値段に今朝の丈を掛けて、十円未満を安いほうへ丸めたものです。入荷したときの丈も載せていますが、これは値段の計算に入っていません ── 入れれば元値になります。
| 品目 | 入荷 | 入荷時 → 今朝(切った分) | 今朝の丈 | 値段 | 明日の丈 | 棚まで |
|---|---|---|---|---|---|---|
| デルフィニウム切花 背が高いので、いちばんよく切ります。下の花から落ちるので、落ちたところで切ると一気に短くなります。 | 9/23 3日目 | 92 → 74cm −18cm | 74cm | ¥6709円/cm | 66–70cm (一日 4〜8cm) | あと6日 |
| ストック切花 茎が太くて水を汚します。切り戻しより水替えのほうが効きます。 | 9/23 3日目 | 70 → 58cm −12cm | 58cm | ¥4608円/cm | 52–55cm (一日 3〜6cm) | あと6日 |
| トルコギキョウ切花 蕾が多い株ほど短くなりません。咲いてしまった枝から切ります。 | 9/23 3日目 | 66 → 57cm −9cm | 57cm | ¥63011円/cm | 52–55cm (一日 2〜5cm) | あと7日 |
| ケイトウ切花 頭が重いので、短くしたほうが立ちます。丈を惜しむと折れます。 | 9/24 2日目 | 78 → 68cm −10cm | 68cm | ¥5408円/cm | 62–65cm (一日 3〜6cm) | あと7日 |
| リンドウ切花 この時期はいちばん減りません。今週いちばん長くもちます。 | 9/24 2日目 | 80 → 71cm −9cm | 71cm | ¥5007円/cm | 66–69cm (一日 2〜5cm) | あと9日 |
| 小菊切花 枝分かれしているので、一本を二本に分けて短くすることもできます。ご相談ください。 | 9/23 3日目 | 72 → 63cm −9cm | 63cm | ¥3205円/cm | 59–61cm (一日 2〜4cm) | あと11日 |
| バラ切花 首が曲がったら深く切ります。いちばん高い花が、いちばん速く短くなります。 | 9/24 2日目 | 62 → 49cm −13cm | 49cm | ¥69014円/cm | 41–45cm (一日 4〜8cm) | あと3日 |
| ダリア切花 水が下がりやすく、切り戻しがいちばん効く花です。今朝、棚に落ちる丈まで切りました。 | 9/22 4日目 | 58 → 39cm −19cm | 39cm | ¥100棚(一律) | 29–34cm (一日 5〜10cm) | 棚にあります |
| スプレーマム切花 咲いた房から落としていくので、下から短くなります。ここまで来ると一輪挿しです。 | 9/22 4日目 | 60 → 24cm −36cm | 24cm | ¥100棚(一律) | 18–21cm (一日 3〜6cm) | 棚にあります |
| 雪柳枝もの 枝ものは減りません。長い花瓶にはこれしか入らない日があります。 | 9/23 3日目 | 120 → 112cm −8cm | 112cm | ¥4504円/cm | 109–111cm (一日 1〜3cm) | あと24日 |
| ドウダンツツジ枝もの 今週いちばん長い一本。切れば入りますが、切った分は戻りません。 | 9/22 4日目 | 140 → 131cm −9cm | 131cm | ¥6605円/cm | 128–130cm (一日 1〜3cm) | あと29日 |
| ユーカリ葉もの 水が下がっても、そのまま乾かせます。この店で唯一、終わっても捨てないもの。 | 9/23 3日目 | 82 → 74cm −8cm | 74cm | ¥4406円/cm | 70–72cm (一日 2〜4cm) | あと11日 |
「明日の丈」だけが幅で書いてあります。このページで未来形を使うのは ここだけで、ほかの数字は見込みではなく今朝測った事実です。切り戻す 長さはその日の水の上がりかたで変わるので、幅より細かくは言えません。
花瓶の高さから選ぶ
お使いになる花瓶の高さを入れてください。今日の丈で入るもの、切れば入るもの、短すぎるものに分けて出します。この装置は丈を足す提案をしません ── 丈は戻らないからです。
今日の丈で入ります3
花瓶の高さの 1.4〜2.8倍(枝ものは 1.6〜3.5倍)に収まっています。
- ストック切花58cm¥460
- トルコギキョウ切花57cm¥630
- バラ切花49cm¥690
切れば入ります7
長すぎるので切ることになります。切った分は戻りません。
- デルフィニウム切花74cm¥670
- ケイトウ切花68cm¥540
- リンドウ切花71cm¥500
- 小菊切花63cm¥320
- 雪柳枝もの112cm¥450
- ドウダンツツジ枝もの131cm¥660
- ユーカリ葉もの74cm¥440
短すぎます0
短すぎます。本数を足しても一本は長くなりません。
ありません。
丈は戻りません。だからこの装置は、丈を足す提案をしません ── 足せるのは本数だけで、本数を足しても一本は長くなりません。
花瓶が高すぎるとき、いちばん効くのは花を足すことではなく、低い器に替えることです。家にあるコップで足ります。
今日いちばん長い一本より高い花瓶には、今日この店から入れるものがありません。明日でもなく、今日はありません。
一輪挿しの棚
切り戻して丈が足りなくなった花は、値札を外して棚へ移します。一律 ¥100 です。
- ダリア¥100
今朝 39cm(棚の丈は 40cm 以下)
水が下がりやすく、切り戻しがいちばん効く花です。今朝、棚に落ちる丈まで切りました。
- スプレーマム¥100
今朝 24cm(棚の丈は 26cm 以下)
咲いた房から落としていくので、下から短くなります。ここまで来ると一輪挿しです。
丈で値段を決めている店が、いちばん短いところだけ丈で決めないのは筋が通りません。それでも一律にしてあるのは、ここから下は丈で差をつけるほどの差が無いからです。20cm と 24cm の花に三十円の差をつけても、どちらを選ぶかの助けになりません。
値段のきまり
- 値段は今朝の丈から計算します ── 1cm あたりの値段 × 今朝の丈で、十円未満は安いほうへ丸めます。
- 包み(新聞紙と紐)は無料です。水を持たせる袋をお付けする場合だけ ¥220 いただきます。
- 配達はしていません。お持ち帰りだけです。
元の値段も、何割引きも書きません
日ごとに安くなる店なので、「元 ¥800 → ¥500」と書けば分かりやすいはずです。書かないのは、比べる相手の値段が実在しないからです ── その花がその値段で売れた日はありません。実際に売っていない値段を消し線にして見せることは、景品表示法の有利誤認にあたります。うちの値札に載っている数字は、今朝の丈から出した一つだけです。
尺では決めません
長さで値段を決めるので、使う単位は法定計量単位 ── メートル系だけです。一尺いくら、一寸いくら、という売り方は取引に使えません。だからこの店の値札は全部 cm で、名前に尺を入れることもしていません。
できないこと
どれも先に理由があるので、例外を作れません。方針なら例外が作れてしまいます。
贈り物の花束をお作りしません。お祝いも、お供えも、スタンドも。
この店の花は、どれも入荷から何日か経って短くなっています。贈る相手は、その一本が昨日何cmだったかを知りません。知らない人に、短くなった花を、新しい花として渡すことになります。自分で見て買って帰る方には売れますが、見ない方には売れません。
明日の取り置きをしません。
明日の丈は今朝の時点で分からないからです。「明日、このバラを 45cm で」とお約束すると、切り戻さないか、約束を破るかのどちらかになります。取り置けるのはその日の朝に丈が決まった一本だけで、その日のうちに取りに来ていただきます。
堆肥をお渡ししません。差し上げることもできません。
毎朝かなりの茎と葉が出るので、堆肥にはできます。ただし堆肥は肥料にあたり、作って人に渡すには肥料の品質の確保等に関する法律の届出が要ります。当店は届け出ていません。出来がよくないからではなく、届け出ていないからです。
花言葉で選びません。
出典によって意味が違い、贈られた側に確かめようがない ── と言いたいところですが、この店の理由はもっと単純です。贈り物を扱っていないので、花言葉を使う場面がありません。丈と、値段と、どれくらい水が上がるかだけでお選びください。
家での切り戻し
店でやっていることと同じです。特別な道具は要りません。
- 1
水の中で切ります。切り口に空気が入ると水が上がらなくなるので、洗面器に張った水に茎を沈めたまま切るのがいちばん確実です。
- 2
斜めに切ります。断面が広いほど水を吸います。よく切れる鋏で一度に切ること ── 潰すと吸いません。
- 3
一日 1〜2cm で足ります。首の曲がった花だけ、曲がったところより下まで深く切ります。
- 4
水に浸かる葉は全部落とします。葉が腐ると水が傷み、水が傷むと切り戻しても上がりません。
これを毎日やると、花は長くもちます。長くもつということは、この店に来る回数が減るということです。それでかまいません ── 一本を早く終わらせて次を買っていただくより、切りかたを覚えて帰っていただくほうが、うちは困りません。
店先で聞かれること
- 昨日見た花が、今日は短くなって安くなっていました。待てばもっと安くなりますか。
- 安くはなります。ただし短くもなります。待って得をするのは、低い器に挿す方だけです。高い花瓶をお持ちなら、待つほど入らなくなります。
- 長いまま置いておいてもらえませんか。
- できません。切り戻さないと水が上がらなくなり、長いまま終わります。丈を残すことと、花をもたせることは両立しません。
- 同じ花を毎週同じ丈で買えますか。
- 買えません。入荷の丈も、その週の減りかたも違います。丈を決めて買いたい場合は、電話で今朝の丈を聞いてからお越しください。
- 枝ものは短くならないのですか。
- 減りますが、一日 1〜3cm です。だから高い花瓶には枝ものしか入らない日があります。
水曜に見たバラが金曜には八センチ短くなっていて、値段も下がっていました。同じ花の値段が動くのを初めて見ました。
花瓶の高さを聞かれて三十センチと答えたら、「今日は枝ものしか入りません」と言われました。ドウダンツツジを一本だけ買いました。
電話で今日の丈を聞いたら、「今日は棚の花しか残っていないので、来ていただくほどではありません」と言われました。来週にしました。
店のこと
2021年から一人でやっています。朝の切り戻しも、値札の書き換えも、断るのも同じ人間です。
店主
竹内 いね
顔写真はありません。架空の人物に実在の顔を当てないためで、代わりの 印も置いていません。
仕入れ
大田市場 花き部(火・金の早朝)
買えたものだけを置いています。品目も丈も週で変わるので、電話で 今朝の丈を聞いてからお越しいただくのがいちばん確実です。
朝のこと
8:00–9:30
朝の八時から九時半までは、全部の花を一本ずつ切り戻しています。店は開いていますが、値札が書き換わる途中なので、丈を聞かれても答えられません。九時半以降にお願いします。
東京都台東区下谷 2-8-4/東京メトロ日比谷線 入谷駅 1番出口より徒歩3分